思考
父には言わなかった。
引っ越しすること。
だって全く喋らないから。
同じ職場で、すれ違うこともあるのに、お互い他人みたいに、目をそらして歩く。
会社を辞めるのも、
辞める理由も、
言わなかった。
辞表みてびっくりしたんだろうな。
実の娘なんだよな。
あの人とお母さんの愛の結晶なんだよな。
よくわかんないけどね。
ただ、
父は
娘を愛してあげれなかった
と言っているらしい。
会社の知り合いに聞いた。
わたしは確かに、
父に愛されなかったなあと思っていた。ずっと。
だけど、それがあの人の当たり前で、
あの人なりの愛情があったのかな、
とも思っていた。
だけど、結局愛されていなかったらしい。
父に甘えると、鬱陶しがられた思い出。
父と遊びたかったのに、趣味を優先するところ。
父と母が仲良くなくなったころ、
母が父の愚痴を言うのを聞いていた小学生のころ、
わたしも父がきらいになっていった。
父との溝は深くて広い。
甘えられる異性がいない生活。
そんな過去が今のわたしを形作っているのだろうか。
どこにもいかないで。
甘えたい。
遊んでほしい。
愛情がほしい。
さみしい。
父という異性から貰えなかったものを
一生かけて探し求めている。
なーんて。
本当に苦しくなるほどは考えないけどね。
いつか恋人を、旦那さんを紹介できたらいいな?いや。恥ずかしいよな。うちもまともに話もできないのに。
いろんな経験が人格をつくる。
未来に残せるのはなんだろう。
仲良くて、笑いのたえない家庭をつくる。